認知症では、物忘れ、判断力の低下、時間や場所がわからなくなる、怒りっぽくなる、意欲の低下、徘徊など様々な症状を来します。一般的に認知症では病状は次第に進行していき治療は難しいことが多いですが、一方で、脳神経外科で扱う認知症の中には、治療により状態が改善する物もありますので、認知症の症状を来す方では、一度脳外科医にもご相談ください。
頭部外傷後、2週間〜1ヶ月程度の時間をかけてゆっくりと血腫が貯留し、それにより脳が圧迫されることで症状が現れるものです。上下肢麻痺、頭痛で発症する方もいますが、なんとなくぼんやりしている、おかしな言動がある、などの認知症のような症状で発症される方も多く見られます。
穿頭術といい、頭蓋骨に小さな穴を開け、貯留した血腫を抜く手術を行うことで、症状は比較的速やかに改善されます。
高齢者では転倒されることも多いため、この疾患は高齢の方でよく経験されます。一般的に若年者では起こりにくいです。
頭蓋骨の中には、脳の他、その周りをみたす髄液という水が存在しています。脳の内部にはその髄液の入った脳室という隙間がありますが、水頭症の際にはその脳室に髄液が過度に貯留して拡大します。水頭症は脳出血やくも膜下出血、髄膜炎など、脳の病気の後にも発症しますが、特発性正常圧水頭症は原因となるような病気がなく起こる水頭症です。認知症、歩行障害、尿失禁の3つの症状が特徴的とされ、頭部CTやMRIで特徴的な脳室拡大の所見を示します。
症状や画像所見から同疾患が疑われる場合には「タップテスト」といい、腰椎から細い針を刺して髄液を20〜30ml程度抜いて、症状が改善するかどうかを確認します。症状の改善があった例では、髄液を持続的に抜くためのシャントという機械を埋め込む手術を行います。
脳腫瘍には良性から悪性まで様々なものがありますが、腫瘍のできる位置や大きさ等によっては、認知症の原因となることがあります。腫瘍を摘出するなど、治療を行うことによって症状が改善する場合があります。
脳出血や脳梗塞などの脳血管障害を契機として発症する認知症です。麻痺などの典型的な症状が起こらずとも、脳梗塞や脳出血を起こしている事があり、これにより脳の機能が低下し認知症を来すことがあります。
高血圧、糖尿病、脂質異常症など、脳血管障害の原因となる病態に対しての加療を行うことで進行を予防することが可能な場合があります。