主な外傷としては
・脳震盪
・脳挫傷
・急性硬膜下血腫
・慢性硬膜下血腫
・急性硬膜外血腫
・外傷性クモ膜下出血
・頭蓋骨骨折
等があります。また重症頭部外傷の多くは、これらの複数が併存しています。特に急性硬膜下血腫や急性硬膜外血腫では、緊急手術が必要なこともしばしばあります。頭部外傷に合併し、頚椎の脱臼や骨折により脊髄損傷をきたすこともあります。
頭部外傷と一口に言っても、軽症例から命にかかわる重症例まで多岐にわたります。転倒、交通事故等を契機に頭部外傷にあった場合、症状や受傷児の状況に応じてレントゲン、CT、MRI等の検査で頭蓋骨や脳のダメージについて評価する必要があります。
特に下記のような症状のある場合には、少なくとも入院で経過を見ることが望ましく、早期の脳神経外科専門施設の受診をお勧めします。
・意識障害、不穏
・健忘(受傷前後のことが思い出せない、くり返し同じことを尋ねる)
・激しい頭痛、繰り返す嘔吐
・アルコール飲酒後の受傷
高齢者は転倒リスクも高く、外傷の受傷頻度が高いといえます。また抗血栓薬(血をサラサラにする薬)を内服されている方も多く、出血時には短時間で急激に血腫が増え重篤化することもしばしば経験されます。
また、軽微な頭部外傷から2週間〜3ヶ月等の時間を経てゆっくりと血腫が貯留する慢性硬膜下血腫も、高齢者に多い病態です。
高齢者と同様に小児も、外傷の受傷頻度は高く、また急激な重症化のリスクも高いです。成長過程にある頭蓋骨や脳は衝撃に弱く、小児に特有の病態もあります。受傷後に意識がぼんやりしている、複数回嘔吐するなど、様子がおかしい場合には早期の医療機関受診をお勧めします。
また、虐待の関与(揺さぶられっ子症候群)も、小児では重要な病態です。
スポーツ時の頭部打撲では、脳震盪、脳挫傷、頚椎損傷などが高頻度に起こります。脳震盪後は適切に休養をとることが推奨されており、早期の再受傷は強い脳へのダメージを来す事があるとされ注意が必要です(セカンドインパクト症候群)。